【アートクルーズ】
ものづくりの中には、さまざまな科学の原理、技術が生かされている-。21_21DESIGN SIGHT(東京・赤坂)で開かれている企画展「動きのカガク展」は、面白い動きをする作品を鑑賞したり、実際に作品の動きを体験したりすることで、もの作りの楽しさや、動きのデザインの多様さを知ってもらおうという試み。夏休みに家族連れで楽しめる展覧会だ。
従順から裏切り
「統治の丘」は、政治と科学の将来を占うような体験型作品。体験者が黒い通路を進み、中央の一段高い台に立つと、周りにある28個の矢印がいっせいに自分の方を向く。手を左に向けると左を、右に向けると右を向く。ところが、そうした動きを13回繰り返した後で、矢印は言うことを聞かなくなる。
この作品では、カメラが鑑賞者の動きを捉え、それにつながったホストコンピューターが矢印の下部それぞれに設置された小さなコンピューターに命令を伝えて動かしている。しかし、13回を限度に、その命令は停止するようになっている。気持ちよく支持を集めていた為政(独裁)者が、やがて民衆からそっぽを向かれる姿を思わせる。