【アートクルーズ】
美しいシンプルな形には、さまざまなパワーや意味が込められてきた。それは神秘、象徴、祈り、悟り、法則、繁栄、愛…。先史時代の遺物から現代美術作品まで約130点を展示している「シンプルなかたち展:美はどこからくるのか」(東京・六本木、森美術館)は、世界の人間が追い求めてきたその美しさとパワーを改めて知る展覧会だ。
俊敏のシンボルに
地球上に出現したときから人間は、太陽の輝きや月の満ち欠けに恐れを抱き、美しさに感動を覚えただろう。オラファー・エリアソン(1967年~)のインスタレーション「丸い虹」は、プリズムや金属の輪を使って、美しい光の輪(虹)を生み出す。刻々と変化する光の輪は日食や月食、天体そのものの運行も思わせ、宇宙的なスケールを感じさせる。