「結婚」の矛盾を鋭く突いた本書だが、「夫婦っていいな」と思わせてくれる。自身も新婚である山内マリコさんは「自分らしい考え方を主張できる相手がそばにいてくれる安心感はやはり大きいです」という=2015年5月13日(塩塚夢撮影)【拡大】
富山県出身。デビュー以来、“地方”というキーワードにこだわり続けてきた。本作でも、登場人物は地方在住だったり、上京してきたり。「さすがに最近は東京を舞台にしてみようと思うのですが(笑)。原体験は、車の後部座席にぼんやり座って、どんよりした目で車窓の、代わり映えしない郊外の風景を見ていたこと。だけどテレビも小説も、出てくるのは都会の地名ばかり。それが当たり前だった。でもあるとき気づいたんです。自分がよく知っている、日本全国どこにでもあるような街の凡庸さこそを、書くべきなんじゃないかって」
凡庸を凡庸でなく描くこと。だから、彼女の描く“彼女”は、たくさんの“彼女”たちをひきつけるのだろう。(塩塚夢、写真も/SANKEI EXPRESS)
■やまうち・まりこ 1980年、富山県生まれ。大阪芸術大学映像学科卒業後、京都でのライター生活を経て上京。2008年「女による女のためのR-18文学賞」読者賞を受賞。著書に『ここは退屈迎えに来て』『アズミ・ハルコは行方不明』『さみしくなったら名前を呼んで』(いずれも幻冬舎)、『パリ行ったことないの』(cccメディアハウス)がある。
「かわいい結婚」(山内マリコ著/講談社、1500円+税)