「あっ、こりゃまずいっ。脱水症状だね」
シンカワさんは鍋の火加減を見るときのような声でそう言うと、クーラーボックスから、アクエリアスのペットボトルとオリオンビールの缶を取り出した。とにかくこれ飲んで、脇の下と首、冷やして。
二度の脱水症状
私たちは大慌てで言われた通り従ったが、ケンの手足はそこだけ地震でも起こっているようにがくがくと震え、紙コップにいくらアクエリアスを注いでも、ほとんど床にこぼしてしまった。それでも、何度も何度もわんこそばのように注ぎ直して、飲ませてやっているうち、どうにか少し落ち着いてきたようだった。
「船酔いじゃなかったんだね」と私は言った。てっきり同志だと思っていたのに、リンゴの中に、しれっと、みかんが紛れ込んでいたような妙な気持ちになった。