「手児奈(てこな)・マーチ」が時空を超えてよみがえった-。雨上がりの週末。千葉県市川市・行徳文化ホールI&I。「村上正治記念ちばマスターズオーケストラ」が創立10周年記念コンサートを開き、手児奈・マーチを国内で初めて演奏した。明治時代、来日したオーストリアの音楽家、ルドルフ・ディットリッヒ(1861~1919年)が作曲した。会場に和の旋律が軽快に流れた。
ディットリッヒは6年間、日本に滞在している。東京音楽学校(現東京芸術大学)で西洋音楽を指導した。三味線の師匠とも交流。日本の俗謡や民謡に強い関心を示した。
帰国後、日本を思い、このマーチを作曲した。オーストリアで演奏され、大好評だった。聴衆の拍手に応えて、何度も何度も演奏したと伝えられる。曲名となった手児奈とは古代、真間(まま、市川市)に住んでいた伝説の美女だ。自分をめぐって男たちが争うのをはかなみ、入水して果てたという。
昨年夏、楽団員の桑村益夫さんが日本とオーストリアの交流史を調べたさい、マーチの存在を知った。なんとか楽譜を入手したい。留学経験のある音楽家、築地徹さんに依頼した。昨年秋、築地さんがウィーンの国立図書館で古楽譜を探し出し、帰国。作曲家の早川正昭さんがオーケストラ用に編曲し、本邦初演となった。