クラゲの水族館として有名な加茂水族館(山形県鶴岡市)では、2008年にノーベル化学賞を受賞した下村脩(おさむ)博士(86)の研究で知られるオワンクラゲが光を放つ姿を見ることができる。
オワンクラゲは刺激すると光るのだが、どんな物質が光を出すのか分かっていなかった。下村博士は家族総出でオワンクラゲを捕まえに出かけ、100万匹ものクラゲから光る物質を抽出、それがタンパク質であることを1962年に発見した。
この研究が元になり、カルシウムと結合すると光を出す新たな物質が85年に発見された。これを細胞に入れて光を測定すると、カルシウムの増減と細胞の働きを同時に知ることができる。カルシウムを研究していた筆者は、世界に先駆けてこの物質を使い、多くの発見ができた。つまり、筆者の研究は、遡(さかのぼ)れば下村博士のオワンクラゲの研究あってこそなのだ。