手塚治虫「鉄腕アトム」のエピソードが原作の「PLUTO」(プルートゥ、2003年~、浦沢直樹、スタジオ・ナッツ著)は、近未来の「人間とロボットの共生社会」を舞台に、人間とロボットの関わり方を通して「人間とは何か」を考えさせる。
なかでも、アトムと、特別捜査官のロボット「ゲジヒト」との間に、“友情”が芽生える場面は考えさせられる。捜査情報を読み取るために、ゲジヒトから「記憶チップ」を借りて自分の人工知能に移し替えたアトム。ゲジヒトと妻の微妙な関係に気づき、別れ際に「今度は奥さんと2人で(日本に)来られるといいですね」と言葉を投げかける。さらに「あなたと奥さんなら大丈夫…何があっても乗り越えられます」と励ます。これを聞いたゲジヒトは「胸がいっぱい」になる。
世相映したヒーロー
ロボットの中では温かな感情が育っていくのに、人間の中からは、温かな感情が少しずつ消え去っていないだろうか。そんなことを思わずにいられない。
こうした作品を見ると、手塚の死後も、日本のマンガ文化は確実に新たな社会や世相を描こうと進化していると思えてくる。