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絵本の形を借りて放たれる「野蛮な喜び」 「没後10年 長新太の脳内地図展」 椹木野衣 (1/5ページ)

2015.6.29 14:00

「キャベツくん」(文研出版)より(1980年、提供写真)

「キャベツくん」(文研出版)より(1980年、提供写真)【拡大】

  • 「つみつみニャー」(あかね書房)より(1974年、提供写真)
  • 火の海「子どものころ戦争があった」(あかね書房)から(1974年、提供写真)
  • 展示室4の展示風景=2015年6月17日、東京都練馬区のひちろ美術館(原圭介撮影)

 【アートクルーズ】

 私には今年9歳になる息子がいるが、いまどきの子供の例に漏れず、まだ保育園に預けていた頃から、大人顔負けでスマートフォンやタブレットを操った。あまり熱中するのは考えものだが、もし自分が幼い頃、こんな無限の宝箱のような装置があったなら、きっと同じ反応をしていただろう。どうしてもきつく叱れない。

 少しは別の関心を引こうと、いろんな名作絵本を読ませようとしたが、なかなか食いついてくれない。子供にすれば、きっと古文書を与えられたような気分なのだろう。いい年をした大人だって朝から晩までネット三昧なのだ。無理もない。

 筋書きも落ちもない

 ところが、である。数ある絵本のなかでも、長新太(ちょう・しんた)の描いた絵本だけは、別格だったのだ。なかでも『ごろごろ にゃーん』『にゅーっ する する する』を開いてやると、とたんに目つきが変わった。どちらも筋らしき筋はまったくない。

 「ごろごろ」は、猫で満席の魚のかたちをした巨大な飛行船が「ごろごろ」「にゃーん」と音を出しながら海から出発。いろんな場面をくぐり抜けて、「ただいまー」とまた海に戻ってくるまでをひたすら描いただけ。

長新太の描いた絵

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