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絵本の形を借りて放たれる「野蛮な喜び」 「没後10年 長新太の脳内地図展」 椹木野衣 (3/5ページ)

2015.6.29 14:00

「キャベツくん」(文研出版)より(1980年、提供写真)

「キャベツくん」(文研出版)より(1980年、提供写真)【拡大】

  • 「つみつみニャー」(あかね書房)より(1974年、提供写真)
  • 火の海「子どものころ戦争があった」(あかね書房)から(1974年、提供写真)
  • 展示室4の展示風景=2015年6月17日、東京都練馬区のひちろ美術館(原圭介撮影)

 道徳度外視で描く

 会場のちひろ美術館は、もともと、児童画で知られるいわさきちひろが22年を過ごした自宅兼アトリエ跡である。あたたかい日常の体温が通っている。規模こそ大きくないが、季節の花が咲き乱れる中庭を囲むように配置された展示室は、ちょっとした迷路のように探検心をくすぐる。

 その奥まったどんつきにあるのが、今回の展覧会のハイライトとなる展示室4である。細い廊下を進んで入り口を目指し、一歩足を踏み入れる。すると、なにか巨大な体育館に足を踏み入れたかの錯覚に陥る。色とりどり、かたちもグニャグニャの長ワールドが、壁と床とを問わず全開されているのだ。 

 子供に見せるためだけではない。長新太の絵本に魅せられた大人は、たくさんいる。でも、本は1ページ1ページめくって見るものだ。同時に違うページを見ることは無理がある。だから、こんなにたくさんの長の絵を、順番や大きさもまったく無関係に、一挙同時に見るのは、まったく初めてのことだった。うまく言えないが、これが凄(すご)いのである。というか、凄(すさ)まじいのである。

誰もが持っていたはずの「野蛮な喜び」

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