昔と違う終末観
登場人物の多くは、後悔を抱えていたり、人生の終焉(しゅうえん)にさしかかったりした男女たち。子供や10代の少年少女を主人公にした話もあるが、作品全体を通じて覆うのは、黄昏のような終末観だ。「前半、死のにおいがする話が多くなってしまったので、子供を主人公にした話を投入したのですが(笑)。終末観はいつの時代もあるけれど、昔と今では違う。昔はいつか誰かが核爆弾のスイッチを押して、一気に全滅するような、ある意味あっけらかんとしたイメージ。でも今は、まるで預金通帳の残高が減っていくように、ゆるやかに終わっていく感じですよね」
作品には、隠れた“登場人物”が。ロバート・A・ハインライン『宇宙の孤児』、チャールズ・ブコウスキー『町でいちばんの美女』…。お気に入りの本を、そっと物語にしのばせた。「あんまり他の作品ではこういうことをしないのですが…。今回は『好きなものを書こう』と決めていたので、無邪気に入れることができた。小説好きな人に、ニヤリとしてもらえればうれしいですね」