「大獅子図」や「班猫」などの代表作だけでなく、ウサギやゾウ、ニワトリ、トラ、クマ、シカなどなど、動物の匂いまで描くといわれた栖鳳の筆。後に「東の(横山)大観、西の栖鳳」と称され、その後の日本画界に大きな影響を与えるのだが、そんな竹内栖鳳は弟子たちに「写生」と「省筆」を徹底させ、ここ京都市動物園にも何度も通って動物たちを写生したそうだ。新しいライブラリーでは「京都画壇と動物園」という企画棚をつくり、京都の画家たちが描いた動物に想いを馳せてもらうことにした。この場所の来歴を大切にすることで、ここにしかない本棚はできるものだ。
そんなこんなで、ライブラリーは完成まであと一歩というところまで辿り着いた。何といってもリオープンは来週。あとは腰痛を庇いつつ、もくもくと棚に数千冊の本を並べていく。額に汗しながら、結局は肉体労働者なのよねとつぶやく。新しく生まれ変わる棚の全貌が少しずつ見えてきた。さあ、あともう一仕事がんばろう。できあがったら、皆さんもぜひ見に来てくださいね。(ブックディレクター 幅允孝(よしたか)/SANKEI EXPRESS)
■はば・よしたか BACH(バッハ)代表。ブックディレクター。近著に『本なんて読まなくたっていいのだけれど、』(晶文社)。