≪伝統に培われた技を新しい発想に生かすと「ものづくり」の可能性が広がる≫
青果売り場の店頭をにぎわす青々とした梅の実は、夏が近づいていることを知らせる季節の便り。梅酒や梅干しは古来より日本人の生活を爽やかに豊かに、そして健康に導いてくれる食材。中でも紀州和歌山は梅のトップブランドとして名高い南高梅の故郷です。
今回はブランド梅の有機栽培にいち早く取り組み、地域への啓蒙(けいもう)にも努めている女性農業経営者、竹内幸子さんを和歌山県田辺市に訪ねました。
梅生産量日本一を誇る和歌山県を代表する品種「南高梅」。大粒で皮が柔らかく、厚い果肉を持つ最高級品といわれています。その歴史は、明治時代にみなべ町で高田貞楠(さだぐす)氏がひときわ大きな実をつける一本の梅の木を見つけたことから始まります。これを母樹に大切に栽培されてきた「高田梅」は、1950年に発足した「梅優良母樹調査選定委員会」により、最優良品種と認定。最も風土に適した梅を選定するための調査に尽力した南部高校の竹中勝太郎教諭が、「南部」と「高田」から名をとり「南高梅」と名付けました。人々の篤(あつ)い思いが和歌山の地域ブランドを育んできたことがうかがえる逸話です。