第153回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が16日、東京・築地の料亭「新喜楽」で開かれ、芥川賞は又吉直樹さん(35)の「火花」(文学界2月号)と、羽田(はだ)圭介さん(29)の「スクラップ・アンド・ビルド」(文学界3月号)、直木賞は東山彰良(ひがしやま・あきら)さん(46)の「流(りゅう)」(講談社)に決まった。
芥川賞に決まったお笑い芸人の又吉さんは今年1月、自身初の純文学作品となる「火花」を文芸誌に発表。3月に発行された単行本は64万部に達した。
4回目の候補だった羽田さんは東京都生まれ。2003年に「黒冷水」で文芸賞を受賞し、デビュー。受賞作は、20代後半の失業青年が痴呆が始まった高齢の祖父の介護や再就職活動を通じ、精神的に成長していく姿を描いた。
芥川賞選考委員の山田詠美さんは「火花」を「どうしても書かざるを得なかった切実なものが迫ってくる。一行一行に人生的なコストがかかっている」と評価。「スクラップ-」については「新しい形のホームドラマの登場。読後感も良かった」と話した。