国際商標に詳しい弁理士で、東京理科大講師も務める宮永栄氏は「東京のエンブレムは、丸や四角を組み合わせたシンプルな図案で、似たものが出てくるのはある意味仕方がない」と指摘する。
エンブレムをデザインしたアートディレクターの佐野研二郎さんは24日の会見で「シンプルだけど、単純ではなく、いろいろな意味が入っているシンプルさがいいと思った」と述べており、こうしたコンセプトが“裏目”に出た格好だ。
宮永氏や特許庁によると、国際商標はスイスに本部を置く「世界知的所有権機関」(WIPO)が管理している。書類審査を通じて国際登録された後には、WIPOが指定された94カ国・地域に商標を保護するよう通報。各国が国内の商標登録の状況を調べた上で、異議があれば「拒絶」という手続きを取ることができる。拒絶が認められれば、その国では知的財産権は保護されない。
宮永氏は「世界的なイベントである以上、一カ国でも拒絶が出るのはダメージだ。組織委は和解か、取り下げかの選択を迫られることになるだろう」と指摘した。
さらに「盗作の疑念が残れば、スポンサーにとっても痛手だ。法的な問題をすみやかにクリアにする必要がある」と述べた。(SANKEI EXPRESS)