この熱気は、青森の街に暮らす人々の矜持になっているのだと思った。冬の気候も、人口減少も、地方経済の問題も厳しいけれど、この6日間の熱情があればきっと生きていける。それだけのエネルギーがこの祭には渦巻いている。そして、9時に祭が終わった直後の余韻と爽快感といったら、言葉には置き換えられない類のものだった。
青森は夏の始まりが遅く、終わるのが早い。帰り道、新青森駅まで乗せてくれたタクシー運転手は、「ねぶたが終わったら、もう夏も終わりだと寂しくなっちゃうんです」と話してくれた。「若い時みたいに毎日踊りはしないけど、結局祭の囃子を聴くと今でも体が動いてしまう」とドライバーはいう。「僕は今日からが、本番。今年も死ぬ気で跳ねてきますよ」という彼の顔は、心なしかもう紅潮していた。もう業務も終わらせて、跳ねにいっちゃってください!(ブックディレクター 幅允孝/SANKEI EXPRESS)
■はば・よしたか BACH(バッハ)代表。ブックディレクター。近著に『本なんて読まなくたっていいのだけれど、』(晶文社)。
「ねぶた祭 “ねぶたバカ”たちの祭典」(河合清子著/角川oneテーマ21、802円)
「年中行事覚書」(柳田國男著/講談社学術文庫、972円)