三女、千延子(ちえこ)さん=当時(22)=を亡くした徳島県阿南市(あなんし)の能仁(のうにん)怜子さん(85)は「今でも娘のことを思い出し、つらくなる」と涙ぐんだ。能仁さんの孫、堤由香子さん(27)は「私の生まれる前の事故だけど、想像するだけで悲しい。二度と同じような思いをする人がいないよう願います」と目を潤ませた。
追悼慰霊式には遺族や日航の関係者ら約350人が参加。犠牲者の数と同じ520本のろうそくに火をともし、墜落時刻の午後6時56分に黙祷(もくとう)した。
事故による死者数は世界の航空史上、単独のものとしては現在も最悪。今年3月にフランスでドイツ旅客機が墜落するなど、今も航空機事故が相次いでいる。
≪つえの老夫婦「3人娘に会いたい」≫
3人の娘を日航機墜落事故で一度に失い、家族が2人だけになって30年。兵庫県西宮市の田淵親吾さん(86)、輝子さん(81)夫妻は80歳を超えてなお、現場の「御巣鷹の尾根」に登っている。「娘たちに会いたい」。その思いが変わることはないからだ。12日も娘たちが好きだったお菓子をリュックに詰めて尾根を訪れ、墓標に供えた。