インドネシア東部の島の救護施設に集まる漁船員。奴隷のように扱われていた船から救出された=2015年4月(AP=共同)【拡大】
行き先はインドネシア近海。国内の島に毎月寄る以外は船の上で過ごし、睡眠は1日4時間ほど。月給は約150万ルピア(約1万3000円)だった。
銃を持った船長に監視され、木や鉄の棒で殴られた。「帰りたい」と言っても取り合ってもらえなかった。20人ほどいた船員には、過労や事故で命を落とし、遺体を海に投げ捨てられた人もいる。
移民だけでも20万人
NPO環境公正財団(ロンドン)によると、船員は主にミャンマーやカンボジア移民、タイの貧困層だ。移民だけでも2009年時点で約20万人が働き、多くが人身売買の被害者だったという。経済成長が続くタイでは、タイ人が漁業など低賃金の仕事を敬遠し、移民らが担うようになった社会的背景も関係している。
取った魚は養殖エビの餌としても使われ、エビは欧米やアジア各国のスーパーで売られた。
外界から孤立した船上では暴力が横行。約50人の船員への聞き取りでは「仕事をサボった」などの理由で船長らが船員を殺害するのを目撃した人は6割に上ったという。