イスラム国によって破壊されたとみられるパルミラ遺跡=2015年6月22日、シリア・パルミラ(AP)【拡大】
Q どんな目的があるのですか
A 歴史的建造物の破壊は今回が初めてではなく、イラク北部のハトラ遺跡やニムルド遺跡などが被害に遭っています。古代の石像などが教義で禁じられる偶像崇拝やアラー(神)以外の崇拝につながる、というのがイスラム国の主張です。
しかし、イスラム教徒が大半を占める国々でも国民が遺跡と共存してきた歴史を考えれば、極端な考えであることは明らかです。組織の強さを演出し、新たな支持者を獲得するための宣伝の狙いも指摘されています。
Q 破壊の影響は
A エジプトのピラミッドやヨルダンのペトラ遺跡と並び、中東を代表する遺跡なだけに衝撃が広がっています。シリア内戦激化を受けて「危機遺産」に登録し、保護を訴えてきたユネスコは「人類の計り知れない損失」と非難しました。
200メートルほど離れた場所にはパルミラ最大のベル神殿もあり、さらなる被害も懸念されます。今年5月にパルミラを制圧して以降、イスラム国は住民の銃殺や斬首も繰り返してきました。人類共通の遺産に対する蛮行に国際社会は有効な手だてを見いだせていません。