報道陣に囲まれる東芝の室町正志社長=2015年9月7日、東京・浜松町の東芝本社(長尾みなみ撮影)【拡大】
東芝が7日発表した2015年3月期連結決算の最終損益は378億円の赤字に転落した。社会インフラ事業以外は、前期比で減益となるなど収益体制の弱体化が浮き彫りになった。室町正志会長兼社長は7日の記者会見で、「大胆な構造改革」の実施を強調したが、柱となる新たな事業の確立が急務になりそうだ。
現在の収益の要は、スマートフォンのデータ保存に使う「NAND型フラッシュメモリー」などを手掛ける半導体事業だ。15年3月期のこの事業の営業損益は2166億円の黒字を計上した。
半導体事業への依存度を減らすことが、東芝の長年の課題だったが、収益源の柱の多様化は難航。エネルギーや医療関連事業の拡大に期待していたが、東京電力福島第1原発事故などの影響で今後の行方は不透明だ。
抜本対策見えず
白物家電を扱うライフスタイル事業の営業損益は1097億円の赤字を計上。改革は待ったなしだ。テレビ事業は海外の事業見直しなど改革を進めるが、パソコン事業も悪化しており、抜本的な対策は見えないままだ。