新しいものへの情熱
こうした特徴について佐賀県立九州陶磁文化館の鈴田由紀夫館長は、個人的な見解としたうえで、「大きく変わった時代の世相を映しているのだろう。新しいものを作りたいという情熱はハンパじゃない。江戸時代と違って、世界に向けて、自分たちの技を発信できるんだ、という異常な興奮状態、高いテンションを表しているようにみえる」と指摘する。
さらに、西洋からコバルトやクロムなど豊富な絵の具を調達できるようになり、色が鮮やかになったことに加え、明治政府が主導して制作した工芸品製作のための図案集「温知図録」を取り入れ、量産体制が整った。
しかし、19世紀後半からの浮世絵収集などから始まった欧米の「ジャポニスム」(日本びいき)は20世紀後半頃から陰りを見せる。軌道を合わせるように有田焼の輸出も衰退していった。