自然を暮らしに取り入れ
巧さんは、ろうそくの新たな意義を見つけてから取り組んでいることがある。「自然を暮らしの中に取り入れた暮らし方の提案」である。「『和ろうそくの灯火を見ると癒やされる』という声をよく聞くんですよ。それはなぜなんだろう、って考えたときに、和ろうそくの自然材料から生み出される灯火とともに生きてきた人間の原点があるからでは、と気付いたんです」
自然の材料100%で作り出される美しい灯火のある生活を提案することで、自然や神仏との間をうまく保ち、人間の不完全さを補う知恵や感覚を、もう一度取り戻す一助となる。和ろうそくには、そんな力がある。そう思いながら、巧さんはさまざまな商品開発を進めている。例えば生産が激減し、希少かつ高価となってきた櫨では和ろうそくも高価になるので、米ぬかをろうの原料として比較的安価な「お米のろうそく」を作った。捨ててしまう自然材料を原料として用い、持続的・自然との共生の物づくりという価値観を打ち出したこのろうそくは「2011年度グッドデザイン賞・グッドデザイン・中小企業庁長官賞」を受賞した。