【Fashion Addict】
鵜飼いで名高い岐阜の長良川、そのきれいな水を活用する「美濃和紙」から、さまざまなファッションが生まれている。1300年以上の歴史がある美濃和紙は昨年、本美濃紙の手漉和紙技術が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録されたことを契機に、産業振興の切り札とする新しい取り組みも進む。日本の高度経済成長期に「岐阜アパレル」で全国に知られた街、その伝統を絶やしたくない、という関係者の願いも見える。
岐阜市のJR岐阜駅前には今も「繊維問屋街」が広がる。だが多くの店はシャッターを下ろしたままだ。「岐阜アパレル」は危機に直面している。
岐阜の繊維産業は戦後、満州(現在の中国東北部)から引き揚げてきた人たちが岐阜駅周辺に出した古着市から始まった。次第に近隣から布を仕入れて、既製服を仕立てて売るようになった。だが近年は安価な中国製品に押されて衰退の一途をたどっている。アパレル販売のみならず、生地メーカーも厳しい競争を強いられる中、大手アパレルへの布の供給を事業の主体としている。その一つ、カワボウ繊維の川島政樹社長は「いまの仕事は順調。でもユネスコの登録をきっかけに、何とかもう一度、かつての元気を取り戻したいと考えた」と話す。