習近平政権は過剰生産と需要不足からくる景気低迷対策のために、預金金利を下げ、元安誘導を試みたが、資本逃避が加速し、銀行間で資金を相互融通する短期金融市場では資金が不足する始末である。中国人民銀行はあわてて人民元押し上げ介入に出動、元高水準の維持に躍起となっている。
日本など先進国だと、通貨高が続くと、企業の国際競争力は減退し、輸出は伸びず、設備余剰となる。企業は生産を大幅削減せざるをえなくなり、雇用や所得に負の影響が及ぶ。おのずと消費熱は冷えるはずだ。しかし、習政権は元高、賃上げと雇用維持を重視し、国有企業などの整理・淘汰(とうた)をためらっている。党指令主導の経済モデルだからこそ可能な離れ業だが、限界はある。
党は中央銀行を通じてカネを創出、供給することはできても、カネの流れは支配しきれない。国内で消費し、投資する機会が少なくなると、余剰マネーが膨れ上がり、海外に流出する。貯蓄は国内で回ってこそ資本が蓄積され、蓄積された資本が投下されて経済が成長する。資本流出はこの循環を壊してしまい、経済成長率が下がる。メキシコ、ブラジルなど中南米諸国は長年、資本逃避に苦しんできた。高度成長しても資本が国内に蓄積されず、国民の大多数が豊かさを享受できない。明治維新以降、あるいは戦後の日本経済は国民貯蓄が国内で投資の財源となり、資本蓄積が進んだ。