ブルガリアとトルコの国境にある、世界で2番目に大きい検問所、カプクレ。井浦新さんの「アジアハイウェイ」の旅は、ヨーロッパとアジアの境界に位置する、この検問所からスタートした。おびただしい数のトラック、年間400万人が行き交う交通の要所だ。
これまでさまざまな旅を経験してきた井浦さんだが、国境を越える旅は初めての体験だったという。夜が明けて、いざ検問所に降り立つと、最初はさまざまなものとの距離感がつかめなかった。「写真を見るとわかるのですが、人と距離をとっていて、なかなか近づけない。最初は風景ばかり撮っていました。でも彼らは人懐っこく、仲間同士で肩を組んで、『ちょっとおれたちを撮ってくれ』と笑いかけてきて」
どこから来たのか。今何をしていて、どこまで行くのか。こちらから質問を投げかけ、会話をする中で、今回の旅への姿勢が定まってきたという。「見ているだけでは何も生まれない。そこにいる人たちと言葉を交わして初めて、何かが始まることを自覚しました」