表彰式では笑顔や涙を間近で見ることができ、胸が熱くなってしまうこともあった。一緒に泳いだ選手たちは、表彰台へ乗ったライバルを拍手でたたえ、リレー競技ではメンバーたちが抱き合い、「ありがとう」「よく頑張った」の言葉を伝え合っていた。マスターズスイマーたちの生き生きした表情から、自己の限界へチャレンジし、競い合う楽しさを感じた。ある人は、「生きがい」だと話してくれた。
勝負とことん楽しむ
「生きがい」という言葉は、さまざまな場所で耳にしてきた。改めて「生きがい」の言葉の意味を知りたくて調べてみた。世界大百科事典第2版の解説によると、「生きていく上でのはりあい」。これは、私自身も考えていた想像できるものだった。しかし、もう一つの意味は「人生いかに生くべきか」と記載されていた。もっと深い意味があったのだと知ることができた。同時に、一人のマスターズスイマーの方との出会いによって、それを実感した。
その方は表彰台を逃し悔しがっていたが、笑顔だった。勝負をとことん楽しんでいるように感じた。すてきな笑顔に魅せられて、「お疲れさまでした!」と声をかけた。すると「ありがとう。あ~ドキドキするわね。でもこれが楽しくって。うまく泳げたのよ。頑張ったから、悔いなしよ」と弾むように話をし始めた。