キリスト教の国・ジョージアからイスラム教シーア派の人たちが多く暮らすアゼルバイジャンへ。銃を持った軍隊が警備にあたるツィティリ・ヒドィ国境検問所は、ものものしい雰囲気に包まれていたという。「『絶対にカメラを出すな』といわれ、撮影はNG。荷物はすべて検査を受け、もっとも入国に時間がかかった。明らかにこれまでの国と様子が異なると思いました」と井浦さんはふり返る。
穀倉地帯を抜けると、幹線道路に沿って、縦横5メートル以上あるアリエフ前大統領の看板がたくさん現れた。建国の父であり、豊かな資源を国の繁栄に結びつけた英雄としてたたえられている。
アリエフ前大統領の名前がついた公園へ。きらびやかに電飾された巨大な門は、一族の権力を象徴している。子供たちが父親と遊びに来ていたので話を聞いてみると、「家族で遊べる場をつくってくれて、本当にありがたい」という答えが戻ってきたという。その後も会う人たちに質問を投げかけると、みな一様に「偉大な人物だ」とたたえる。「国民は国に過剰に管理されているのかといえば、そうは感じませんでした。素直に敬意を表し、そこに嘘はない。国は公共施設や学校をつくり、貧しい地域を開発し、道路を整備する。多くのお金を国民のために費やしているのです」