アリエフ前大統領の博物館は、ザハ・ハディド氏の建築設計。見学に訪れたたくさんの小中学生であふれていた。子供たちの笑顔は世界共通。バザールにも足を運んだが、他国のバザールと違って、どこか居心地が悪い。「早く通り過ぎてくれ、という感じで、決してカメラを見てくれないのが不思議でした」
歩いていると、風景が一転して、まるで廃虚のような光景が目に飛び込んできた。貧しい人が数多く暮らすソベツキ地区。再開発の対象になり、国は、家の面積分のお金と対価に立ち退きを命じた。
しかしそのお金では他所に家を買えない。ここで生まれて60年のラシード・イヌラエフさんは、長年住み続けた家を見せてくれた。壁には亡くなった奥さんの写真。止まった時間。「再開発によって人と人とのつながりが断ち切られてしまう、というジャーナリストの女性にも会いました。アゼルバイジャン人は、特に家族を大切にする民族。ところが、最近家族の間でお金をめぐるいさかいが起きているといいます」