ノーベル医学・生理学賞に決まり、記者会見する大村智(さとし)・北里大特別栄誉教授=2015年10月5日夜、東京都港区(共同)【拡大】
失明恐怖から3億人救う
大村氏は、微生物が作り出す有用な化合物を次々に発見し、医療や研究に大きく貢献した。中でも寄生虫による風土病の治療薬として実用化した「イベルメクチン」はアフリカなどで無償供与され、世界で年間3億人を失明の恐怖から救っている。
米国留学から帰国した大村氏は1973年、北里研究所の室長として微生物の探索を始めた。各地の土壌を集め、薬に使えそうな物質を作り出す微生物がいないか調べる地道な研究だった。
静岡県伊東市内のゴルフ場近くの土壌から、新種の放線菌「ストレプトマイセス・アベルメクチニウス」を発見。共同研究していた米製薬大手メルクに試料を送り、マウスで実験したところ、寄生虫に対して有効なことが75年に分かった。
当初は動物用の薬
大村氏とメルク社は、この菌から抽出した化合物を「エバーメクチン」と命名。薬剤として使うための改良を重ね、分子の構造を一部変換してイベルメクチンという化合物を開発した。寄生虫や昆虫など節足動物の神経に作用し、少量の投与で高い効果を発揮する。