ノーベル医学・生理学賞に決まり、記者会見する大村智(さとし)・北里大特別栄誉教授=2015年10月5日夜、東京都港区(共同)【拡大】
当初は家畜やペットの寄生虫駆除剤として販売されたが、人間の感染症にも有効なことが臨床研究で判明。アフリカや中南米の人々を苦しめていた「オンコセルカ症」という風土病に効果があることを突き止めた。
オンコセルカ症は、河川盲目症とも呼ばれ、ブユに刺されることで糸状の微小生物である線虫が目などに侵入する。アフリカで年間数万人を失明させていた恐ろしい病だ。イベルメクチンの効果は劇的だった。少量の服用で有効性を示し、副作用も少ない。
イベルメクチンは81年に動物薬としてメルク社が発売し多大な売り上げを記録。87年にヒト用の「メクチザン」の商品名でメルク社が無償供与を開始した。画期的な治療薬の登場は患者に福音をもたらした。世界保健機関(WHO)は将来、オンコセルカ症が撲滅されるとみている。イベルメクチンは、寄生虫のフィラリアに感染して皮膚がゾウのように厚くなる「リンパ系フィラリア症」(象皮病)という熱帯病や、沖縄県や東南アジアなどで発生する糞(ふん)線虫症にも効くことが分かった。