ノーベル物理学賞に決まり、記者会見で驚いた表情を見せる梶田隆章(かじた・たかあき)・東京大宇宙線研究所長=2015年10月6日夜、東京都文京区の東京大(共同)【拡大】
新たな研究に発展
宇宙の成り立ちに大きな影響を与えたとされる素粒子ニュートリノは、どんな物質もすり抜けるため「幽霊粒子」と呼ばれる。私たちは実感できないが、地球上でも大量のニュートリノが常に体を通り抜けている。身の回りにあるのに観測は難しく、一時は光より速いという実験結果があったほど謎が多い。
小柴氏が超新星爆発で出たニュートリノを初めて検出して開拓した研究分野を梶田氏らがさらに発展させ、“幽霊”の正体に迫った。
ニュートリノには「電子型」「ミュー型」「タウ型」と3種類ある。梶田氏が見つけたのは、ニュートリノが飛んでいる間に別の種類に変身してしまう「振動」という不思議な現象だ。変身するのは質量を持つ証拠とされる。
ニュートリノはスイスの理論物理学者が1930年に存在を予言したが、50年代まで見つからなかった。質量もゼロと考えられていた。宇宙には膨大な量のニュートリノが存在するため、質量があれば大きな引力が発生し、宇宙の膨張にブレーキをかけるかもしれない。宇宙を満たす「暗黒物質」の正体である可能性も取り沙汰され、梶田さんらの発見は大きな反響を呼んだ。