関東周辺では、箱根の仙石原が知られている。わざわざ出かけてみたこともあるが、以前は身近にあったススキの野原をあまり見かけなくなったような気がする。
茅の一種であるススキは、茅葺(かやぶ)き屋根の材料のほか、肥料や飼料として使われる有用な植物で、かつて集落の近くには「茅場」と呼ばれるススキの野原が広がっていた。ススキの野原は、刈り取りや火入れといった世話をしないでほっておくと、樹木が侵入しやがて雑木林へと変わってしまうのだという。茅として使われなくなったススキの野原を維持するには、大変な手間がかかるのである。
ススキの野原を見ると、何だか悲しくなるのは、人の手に寄らねばならぬ、はかない存在だからかもしれない。(EX編集長 小塩史人/SANKEI EXPRESS)