ホワイトハウスで、2016年末までに予定していたアフガニスタン駐留米軍の完全撤退を断念したことを発表するバラク・オバマ米大統領。右はジョー・バイデン副大統領、左はアシュトン・カーター国防長官、左端はジョセフ・ダンフォード統合参謀本部議長=2015年10月15日、米国・首都ワシントン(AP)【拡大】
バラク・オバマ米大統領(54)は15日、2016年末までに予定していたアフガニスタン駐留米軍の完全撤退を断念し、約1万人の現在の駐留規模を維持する方針を発表した。不安定なアフガン情勢を踏まえた決断で、政権末期の16年末以降、約5500人に削減する。
アフガンとイラクの「2つの戦争」終結を掲げたオバマ氏にとって大きな政策転換。大統領任期中の撤退は実現しないことになった。オバマ氏は15日、ホワイトハウスで記者会見し「私が下す最も重い決断だ」と述べた。
アフガンではイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」が台頭し、北部の重要都市がイスラム原理主義勢タリバンに一時制圧されるなど治安が悪化。アシュラフ・ガニ大統領(66)は16日「テロとの戦いで米国との関係を強化していく」とツイッターで述べ、駐留延長を歓迎した。
北大西洋条約機構(NATO)のイエンス・ストルテンベルグ事務総長(56)は15日、歓迎する声明を発表。米軍駐留延長に合わせてNATOも任務を継続する公算が大きい。
一方、タリバンは反発し、外国軍の追放を予告。政府とタリバンによる和平交渉の再開はさらに遠のく恐れが出てきた。