作品の本当のタイトルは命題「語り得ぬことに…」を含む160字以上もの長尺版。谷は「日本の演劇で一番長いタイトルかも」と笑う。「言葉で言い表し切れないところに大事なものがある、という主張を皮肉とユーモアで表現した」。谷は脚本を書くためにウィトゲンシュタインを徹底的に研究。「これほど長くつきあった題材はない」という。戦争に哲学となじみの薄い世界のようだが、伝えたいのは言葉の持つ力。「現代にもつながる要素」と谷。「最近は本を読む人も減り、言葉の価値が軽くなってきた。でも何げない一言が人間関係を作るなど、巨大な可能性を秘めた武器であることに気づいてほしい」と話す。続編も検討している。
谷の守備範囲は広く、自作のほか、翻訳や演出で多くの外部作品に参加している。今年は「PLUTO」「ペール・ギュント」「マクベス」など。12月には東京・池袋で少年少女3人の翻訳劇「TUSK TUSK」を演出。来年2月から公演予定の新作「ETERNAL CHIKAMATSU」も執筆中。近松門左衛門の「心中天網島」をベースに深津絵里と中村七之助が主演、演出は盟友というデヴィッド・ルヴォー。