力強いフォルムで躍動感あふれる盆栽と、現代の琳派の呼び声高いロックな壁画絵師、キーヤンの襖絵が競い合う。およそ植物園とは思えない空間が広がる=2015年10月10日、兵庫県淡路市の兵庫県立淡路夢舞台温室「奇跡の星の植物館」(田中幸美撮影)【拡大】
しかし、ある日若い情熱的なレストラン経営者がやってきて店の中にバラを描いてほしいと懇願された。スケッチに行った琵琶湖の湖東にあるバラ園で、ダイナミックなクラシック音楽が流れ、バラのガクがまるで踊るように躍動するのを見て、夢中になって20、30枚のスケッチを一気に仕上げた。そのスケッチ画を見たバラ職人が一言「ああ、バラやな」。「それを聞いてものすごく自信を持ってそれからバラを描きまくった」というエピソードを披露した。
また、辻本さんは「木村さんはすべて『なりゆき』でやってきたと言っているが、環境によって自分の適応できる力を見いだしているのはすごい才能」と賛辞を贈った。キーヤンも「植物は水がなかったら努力して違う形に変化していこうとする。ところが今の若者は甘やかされて、自分でどう生きようかという力がない」と、最後は現代の若者論へとトークは発展していった。(田中幸美(さちみ)、写真も/SANKEI EXPRESS)