「イスラム国」の活動には、13歳の弟を説得して勧誘したほど熱心なことで知られる。その残虐さが衝撃を広げたのは、昨年明るみに出たプロパガンダ用ビデオだった。「神のおかげだ。運んでいるのは背教者らだ」。そう語るアバウド容疑者が乗ったトラックには、いくつもの死体が積まれていた。
「洗脳」された実行犯兄弟
「2人は普通の若者だった。洗脳されたのだろう」。モレンベークの一角のれんが造りの建物。閉鎖された1階のバー近くで地元の青年が語った。
「2人」とは実行犯のブラヒム・アブデスラム(31)、犯行に使われた車を用意したとされる弟のサラ・アブデスラム(26)の両容疑者だ。
2人が営んでいたバーは最近、閉鎖された。違法な麻薬が店内で使用されていたためだ。8月には家宅捜索も行われていた。
パリの同時テロでは2人を含むフランス人らが過激思想に染まり、犯行に及んだ疑いが強まっている。知人らによると、2人はモスク(イスラム教礼拝所)に通うこともなく、たばこを吸っていた。そもそも2人のバーは宗教上、禁じられた酒を提供する場だった。