元の国際通貨化は、中国とユーラシア大陸および東南アジア、インド、中近東、アフリカを結ぶ陸と海の「一帯一路」のインフラ・ネットワーク整備構想を実現させ、党支配体制を延命させる鍵である。
習政権は基金や国際開発金融機関を相次いで発足させようとしている。代表例が、年内設立をめざす多国間のアジアインフラ投資銀行(AIIB、本部北京)である。AIIBは国際金融市場でドルなど外貨を調達してインフラ資金とする計画で、英独仏など欧州や韓国、東南アジア、ロシアなどが参加したが、世界最大の債権国、日本と国際金融シェアが最大の米国が参加しないこともあって、信用力は弱い。このため、国際金融市場での長期で低利が必要となるインフラ資金の調達は困難だ。ならば、中国が元資金を提供するしかない。しかし、元がローカル通貨である以上、元による決済は限られる。翻って、元が国際通貨になれば、その障害は少なくなる。