IMFのラガルド専務理事は3月末に訪中して「元のSDR入りは時間の問題よ」と、李克強首相らに打ち明けた。自国の金融市場を元決済センターとするよう北京に陳情を繰り返してきた英国を始めとする欧州主要国はこぞって支持に回った。
米国はIMF加盟国中、唯一拒否権を持つが、ニューヨーク・ウォール街出身者が中枢に座るオバマ政権は国際金融資本の利害に敏感だ。当初こそ、態度を留保したが、北京がこの夏、金融の部分自由化を約束した途端、「IMFの条件に合えばSDR入りを支持する」(ルー財務長官)と豹変(ひょうへん)した。ウォール街では元金融で稼ごうと、シティグループ、JPモルガン・チェース、ゴールドマン・サックスらが中国の大手国有商業銀行と組んでウォール街を元決済センターにする準備がたけなわだ。
カネに飽かせて日本排除
今後、世界では何が起きるか。元は世界最大の通貨発行量を誇る。元の発行額は今年10月、4.3兆ドル相当で、ドル資金発行規模をしのぐ。国際通貨になれば、元は国際市場でドルとの交換が保証される。経済面ばかりでなく、政治、軍事の分野で元の威力はさらに増すだろう。