原因が分からず、治す方法が見つかっていない難病の一つ、「再発性多発軟骨炎(RP)」の患者である加藤志穂さん(33)を取材したのは、ちょうど2年前のことだ。
加藤さんは6年半前、語学力を生かして働いていた航空貨物会社の海外研修中に突然、RPを発症。耳や鼻などの軟骨を異物と誤認して攻撃し、痛みや発熱を伴う炎症を繰り返す珍しい病気だ。気道や気管支の軟骨に炎症が起きれば、窒息の恐れもある。
病気のこと、難病患者の大変さなど多くの話を聞いたが、特に胸を打たれたのが就労の問題だった。医療費はかかるのに、難病患者が週5、6日フルタイムで働くのは難しい。加藤さんも会社を退職し、症状が落ち着くのを待って医療系企業でアルバイトを始めたが、収入は落ち込んだ。「20代後半はちょうど仕事が花開いていくとき。周りに取り残されるもどかしさ、焦りは思い出したくない」と当時の心境を振り返り、社会の一員として働きたいという強い思いを口にしていた。
そんな加藤さんと先日、2年ぶりに再会した。
「調子が落ち着き、なんと前の会社に復帰したんです。残業不可など制限はありますが、週5日働いています」