司法権の独立に干渉したと受け取られかねないこのような公文書を韓国外務省が送付したことを明らかにしたことには、外交的な思惑があると思う。「今回は日本との関係に鑑(かんが)みて、特別の扱いをした。これは日本政府に対する貸しだ」という外交的シグナルだ。しかし、日本が韓国のこのような論理に付き合う必要はさらさらない。韓国検察が加害者で加藤氏と産経新聞社は被害者だからだ。それだから「無罪判決が言い渡されてよかった」などとは、絶対に思ってはならない。これまで行われていた法の濫用(らんよう)による不正常な状態を正常に戻す判決が言い渡されたに過ぎないのである。遅きに失した観はあるが、ようやく異常な状態が是正されたことで、韓国の司法が国際基準の民主主義に適合していることが可視化されたのである。韓国検察に、この現実を冷静に認識して、控訴を断念することを呼びかける。(作家、元外務省主任分析官 佐藤優(まさる)/SANKEI EXPRESS)