「心理描写が深くなっている? 自分では意識したことはないのですが、そう思ってもらえるとしたら、一作ごとに『湊村』の住人が増えていっているからかな。人間って、理想があっても、到着するとここではないと思ってしまいがち。青い鳥を手に入れたはずなのに、人の家の青い鳥の方が、きれいに見えたりする(笑)。彼女たちは40歳を超えてもがいているけれど、10年たったら、『あのとき3人でやっていたころ、楽しかったな』と思えるようになっているかもしれませんね」
デビューから8年。ヒット作を連発し、スター作家としての道を走り続ける。「青い鳥」を手に入れたかのように見えるが…。「全くです(笑)。前へ向かう、というよりは、常に後ろから追いかけられているイメージ。一生懸命走っているのは、後ろから来るモクモクしたものにのみ込まれないようにするため。毎回、『今作でダメになってしまうんじゃないか』と思っています」
焦燥が生む珠玉。「3人だけでなく、ちょっとした登場人物にもこだわっています。作品のどこかにいる『自分』を見つけてもらえればうれしいです」(塩塚夢、写真も/SANKEI EXPRESS)