改稿経て生まれ変わる
その熱を活字として結晶させるまでに7年を必要とした。「今まで、自分は『怒り』をモチベーションに作品を書いてきた。(高校野球の補欠選手たちを描いた)『ひゃくはち』では(自身も選手だった)野球への、『ぼくたちの家族』では家族への。でも、今回の怒りは具体的な対象へのものではなかっただけに、どう物語に落とし込むかを攻めあぐねた」
連載時から大幅な改稿を加えて、刊行にたどりついた本作は、2015年の年末から始まる。37歳の秋久のもとに、高校の後輩だという女子高生から「1995年」について調べているという連絡が届く。秋久にとって、それは人生を変えた年だった-。
あのとき、17歳。「普通」の男子高生だった秋久だったが、ある日個性的な4人のクラスメートの仲間になる。ストリート雑誌の表紙を飾るまでの変身を遂げ、センター街を闊歩(かっぽ)する秋久。しかし、リーダーの翔が何者かに襲撃されたことをきっかけに、渋谷の街に渦巻く抗争に巻き込まれることになる-。
「秋久たちはあの時代が生んだ新しい形の『不良』。でも、あの時代の中心にいたのは、間違いなく彼らだった」