第二次世界大戦の元凶となったナチス・ドイツの総統(フューラー)アドルフ・ヒトラー1889~1945年)の主著『わが闘争』のドイツ語版が、8日にドイツで再刊された。ヒトラーには子どもがいなかった。そのため、戦後、ヒトラーの著作権は、西ドイツ(当時)のバイエルン州が継承することになった。これまで、バイエルン州は、『わが闘争』の再刊や翻訳を認めなかった。もちろん、これは地方政府であるバイエルン州のみで行われた判断ではない。西ドイツ政府が、ヒトラーの著作の刊行は一切認めないという方針をとったからだ。実際には、日本語訳、英語訳、ロシア語訳などと、ドイツ語版が以前から流通しているが、それらはすべて著作権継承者の了承を得ていない「海賊版」ということになる。
注文殺到、売り切れ状態
ドイツ語版『わが闘争』は、ドイツでは禁書になった関係で、ドイツ語版は、ドイツ以外で刊行されていた。ドイツで、著作権は70年で保護されなくなり、その後は誰でも自由に当該書籍を出版できるようになる。ヒトラーの場合、死後70年目の2015年末日で著作権が切れたので、今月8日にドイツ語版が戦後初めて再刊された。筆者も事前にインターネット書店で予約したが、未(いま)だ入手できていない。もの凄(すご)い勢いで『わが闘争』が売れているからだ。