満開のリンゴ畑のなかを選手たちが駆け抜けていく。標高500メートルから1000メートルのこのエリアはリンゴ栽培に適しているという=イタリア・トレンティーノ=アルト・アディジェ州(田中苑子さん撮影)【拡大】
イタリアで毎年、4月中~下旬に開催される自転車ロードレース「ジロ・デル・トレンティーノ」。近年は4日間のステージレースとして定着しているが、厳しい山岳ステージが組み込まれるため、5月に開催されるイタリア最高峰のグランツール、「ジロ・デ・イタリア」の前哨戦として、根強い人気を誇り、世界のトップ選手が集結する。
レースが開催されるのは、イタリア北部、オーストリア国境に近いトレンティーノ=アルト・アディジェ州。そして現在の大会メーンスポンサーは「メリンダ」という地元の一大リンゴメーカーが務める。トレンティーノはイタリアが誇るリンゴの産地であり、メリンダは、その地域にある4000軒以上のリンゴ農家と契約しており、そこで収穫される年間30万トンに及ぶリンゴは、イタリアをはじめ世界各国に流通している。そして、ちょうどレースが開催される4月は、リンゴの花が満開になる。選手たちは春の気持ちのいい気候のなか、甘い香りと淡いピンク色に包まれた山岳部を駆け抜けていくのだ。