シリアなどから欧州へ向かう難民らの流れが今年に入っても止まらない。欧州連合(EU)では、昨年打ち出した難民の受け入れ分担や流入抑制策が機能せず、危機感が募っている。一部加盟国は国境管理などを通じ、個別に受け入れを制限し始めており、EUが掲げる「移動の自由」の理念は風前のともしびだ。
支援金拠出も合意できず
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、昨年、地中海を渡り欧州に到着した難民や移民は100万人を超えた。玄関口のギリシャには今年も既に約4万4000人が到着。冬の悪天候などにより昨年のピーク時よりは少ないが、昨年1月の25倍を超す数だ。
EUは昨年11月、200万人以上のシリア難民を受け入れているトルコと流入抑制策で合意。目立った効果がないことにEU内では「トルコに一層の取り組みを求める」(フランスのカズヌーブ内相)との声が上がるが、EU側もトルコに約束した難民支援金30億ユーロ(約3850億円)の拠出の仕方に加盟国が合意できていない。
またEUは昨年9月、ギリシャやイタリアに到着する難民の受け入れを分担しようと、欧州委員会の提案に基づき、計16万人の分担措置を多数決で決定した。だが、今月22日までに実行されたのは約350人。分担に反対したハンガリーなどは依然、措置に参加する構えさえ見せていない。