首都パリ市内のレストランで夕食をともにするバラク・オバマ米大統領(左)とフランソワ・オランド仏大統領(右)。「イスラム国」との戦いを最優先するため、退陣を求めていたシリアのアサド政権への対応にも変化が=2015年11月30日、フランス(AP)【拡大】
パリ同時多発テロ後、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」との戦いを最優先する欧米諸国が、シリアのアサド大統領との協力を模索し始めた。イスラム国打倒にはシリア政府軍との共闘が欠かせないからだ。反政府デモを武力弾圧した「暴君」として即時退陣を求める姿勢が揺らいでおり、シリア反体制派は「欧米の国益を優先し、独裁者を容認するのか」と焦りを募らせている。
退陣は前提にならず
ケリー米国務長官は4日の記者会見で、アサド氏の退陣前でも、米国が支援する反体制派部隊とアサド政権軍の協力は可能だと表明した。中東では、「アサド退陣」が全ての前提としてきた従来の主張からの後退と受け止められた。
さらにフランスのファビウス外相は5日付地元紙のインタビューで、イスラム国との戦いにはシリア全勢力の結集が必要だと述べ「(和平対話開始前の)アサド退陣が必須ということはない」と踏み込んだ。
米仏とも、将来的にはアサド氏が権力の座を去る確証が必要との立場は維持している。だがシリア外交筋は「半年前は、和平開始前の退陣が必須と言っていた。(欧米は)明らかに後退している」と指摘する。