閣僚辞任を発表する甘利明(あまり・あきら)氏。政権中枢の一角を担っていただけに、安倍晋三(しんぞう)首相にとっても痛手となりそうだ=2016年1月28日午後、東京都千代田区(斎藤良雄撮影)【拡大】
野党のTPP批判必至
安倍首相が、辞意を漏らす甘利氏を強く引き留めようとしたのは、自身を支えてくれた「盟友」だったからだ。甘利氏が閣内にとどまれば、野党の追及が激しさを増し、参院選への影響も少なくないことも承知の上だったはずだ。
甘利氏は、自民党の山崎拓(やまさき・たく)元副総裁が率いた山崎派(現石原派)に所属していたが、2006年の自民党総裁選では安倍選対の事務局長に就任し、非安倍勢力の結集を目指した山崎氏と対立して派内の多数を安倍支持でまとめた。首相が2007年に退陣し、失意のどん底にあっても支えてくれた一人が甘利氏だった。
与党内には、野党の批判をはねのける力量があるのは、TPP交渉の全てを知り、まとめ上げた甘利氏以外にいないとみられていた。首相は甘利氏の後任に石原伸晃(のぶてる)元環境相(58)を起用した。TPP交渉は大筋で合意したものの、通常国会後半では、TPP参加の国会承認と関連法案が最大の焦点となる。かつての金融国会では「政策新人類」と呼ばれ、行政改革担当相や国土交通相、自民党でも幹事長や政調会長を歴任した石原氏だが、夏の参院選を前に野党の厳しい批判にさらされるのは必至だ。甘利氏の「退場」は安倍首相にとって政権発足以来の痛手となった。(峯匡孝/SANKEI EXPRESS)