舞台「砦」(東憲司演出)。3月6日公演(樋口一成さん撮影、提供写真)【拡大】
ただ、舞台が訴えかけるのは「故郷で静かに暮らす幸せを守りたい」という、普通の市民の目線だ。明治生まれで頑固な知幸に尽くし、反対運動のシンボルとして、日の丸の赤と白を逆転した旗を縫い続けたヨシ。死後の夫と対話する場面で本音を漏らす姿には、耐えるだけではなかった女性の強さをのぞかせる。
セットは、東が主宰する劇団桟敷童子を思わせる骨太な造り。高度経済成長期の陰に埋もれた、愚直に生きながらも、いたわり合った夫婦の愛情物語が浮かびあがる。6日まで、東京芸術劇場シアターウエスト。(藤沢志穂子/SANKEI EXPRESS)