富士山、サクラ、そしてレクサス「NX」=日本平ホテル【拡大】
■目指すは日本発のラグジュアリーブランド
「短期的な結果は求めていない。時間をかけて、ユーザーとレクサスとの距離感を縮める。世界観を感じてほしい」と語るのは、レクサスブランドマネジメント部、室長の沖野和雄氏。「イベントの狙いは、お客様の想像を超えた反応にある。もっと旅行できる場所を増やし、地方の魅力や財産を発掘したい。そして、レクサスを日本発のラグジュアリーブランドとして認知させたい」と目を細める。一般的に、高級車の買い替えは5年から10年程度の間隔を要するとされる。それらの期間を見据え、中長期的にブランド価値を高めるのが真の狙いだ。
米調査会社JDパワー・アンド・アソシエイツによると、発売から3年後の自動車を対象にした2015年の米国の品質調査で、レクサスが4年連続の首位になった。こうした高い評価を得る一方で、課題もある。世界販売でライバルのアウディに後れをとっており、中国をはじめとする新興国で存在感をいまひとつ発揮できていないのが実情だ。
国内に限っても、ライフスタイルや価値観の多様化、インターネットの普及により、従来型の「高級感」を前面に打ち出した広告だけでは消費者の心をつかみきれなくなった。「DINING OUT」は、こうした現状を打破するための実験のひとつといえる。若者が自動車を乗り継ぎ、憧れの高級車を手に入れる「いつかはクラウン」は過去の話。今後もレクサスの試行錯誤は続く。