とびぬけた軽量ぶりが仇になる場面があった。筑波山は道路の整備が不十分な箇所が多く、大きめの段差があったりするのだが、ここを普通のクルマの感覚で走り抜けると、アルト ワークスは軽く“飛ぶ”のである。無論、その“滞空時間”はほんの一瞬ではあるのだが、他の多くのクルマと比べると明らかに長いと感じた。今回はたまたま直線での出来事だったので、着地してそのまま問題なく走り続けたが、これがカーブの頂点だったら危険。軽くて速いが、調子に乗って飛ばしすぎると痛い目に遭うだろう。特に整備が行き届いていない道を走るときは、その軽さを十分意識して慎重に走ったほうがいい。
同様に、高速道路の追い越しで、一瞬法定速度を超えるような場面でも、軽さが多少不安に思えた。100キロ巡航でもいやな振動は伝わってこないし、むしろ一般道よりも直進安定性を強く感じることができた。これは、高速走行を前提にしたサスペンションの設定の賜物だと思う。しかし同時に、スピードを上げるほどに浮いているような感覚に襲われたことも事実である。実際は浮いてなどいないし、強めのブレーキをかければ、きっちり制動がかかるから、それが単なる思い過ごしであることが頭では理解できるのだが、丸一日乗った程度では、その感覚はぬぐえなかった。慣れの問題とは思うが、このクルマの軽さの異次元ぶりがうかがえて、面白い体験だった。
速い・安い・使える、の三拍子 「無敵」まであと一歩
トヨタ・86(スバル・BRZ)を皮切りに、ホンダ・S660、マツダ・ロードスター、ダイハツ・コペンなど、国産メーカー各社から比較的手に入りやすい価格のスポーツカーが出そろってきた。それぞれに共通するのは、実用性を犠牲にしてもスポーツ性能とスペシャリティを追求するというスポーツカーとして当たり前のコンセプトである。そこに復活したのがこのアルト ワークス。パッと見普通の軽乗用車だが、運動性能は完全にスポーツカーだった。