「デフレ脱却こそ財政再建の近道」早大教授・若田部昌澄氏

政策を問う~消費増税再延期
インタビューに答える早稲田大学政治経済学術院の若田部昌澄教授=1日、東京都新宿区

 --消費税率10%への増税が2年半再延期された

 「すばらしい決定だが、単なる延期で経済が復活できるのか。平成26年に消費税率が5%から8%へ引き上げられてから消費が落ち込み、一向に回復する兆しがない。消費はリーマン・ショックのときよりも落ち込んでいる。凍結もしくは税率を5%に戻す減税に踏み込むべきだった」

 --なぜ凍結や減税が必要なのか

 「消費者は『増税はいずれ来る』と思うことで、節約志向が続いてしまうからだ。日程ありきの政策ではなく、名目国内総生産(GDP)600兆円が達成できたら増税を慎重に考えるといった打ち出しが必要だ。デフレ脱却の状態をまずは定義する必要がある」

 --具体的な政策は

 「家計に行き渡るような政策、インフラ補修に加え、教育、科学技術振興などヒトへの投資が重要だ。補正予算額としては、(日本経済全体の需要と供給力の差を示す)需給ギャップが8兆~10兆円なので、ひとつの目安ではないか」

 --財政健全化や社会保障費の充実に増税は必要ではないのか

 「約20年のデフレで財政が悪化したのは事実。デフレ脱却こそが財政再建の近道だ。名目GDPが増えれば財政は良くなるし、基礎的財政収支も改善している。債務残高比率も安定化しつつあるので財政再建は順調に進んでいるといってもおかしくない。増税を急いだ結果、財政再建ができなくなれば元も子もない」

 --金融政策のみの景気浮揚には限界論も出ている

 「物価上昇2%に向けて日銀は金融緩和策を続けているが達成は難しい。政府が増税を先送りした以上、日銀も追加緩和に踏み切るべき。デフレに対抗するため、政府、日銀が一緒になって対策を取るべきだ」

 若田部昌澄氏(わかたべ・まさずみ)昭和62年早稲田大政治経済学部卒。同大院経済学研究科、トロント大経済学大学院に学ぶ。ケンブリッジ大などで客員研究員を歴任。平成17年から早大教授。専攻は経済学史。51歳。神奈川県出身。